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2006年2月24日 (金)

ショートショートPart.2

なんか久々の更新になりましたが、ほんと久々に創作意欲が湧いたので、書きたいと思います。今回もショートです。

---スタート---

題名:「あの日の少女」

「なんて綺麗なんだろう。」
思わず声が出てしまった。
私は湖に船を浮かべている。目の前には大きな富士山が見える。空は雲ひとつ無い青空。本当に綺麗だ。

最愛なる妻の死、一人息子の事故死、15年間勤めた会社をリストラされたこと、全てがこの1ヶ月の間に私に起きたことである。
家に一人籠もっていて、何も手に付かず、気付いたら車でこの湖に向かっていて、湖上に船を浮かべていた。
私がここに来た理由はただひとつ、自ら妻や息子の待つ場所に向かうこと。
「最後にこんな景色を見れたなんて、俺は幸せ者だな。3人で来たかった。」

そんなことを呟いていると、後ろから、
バシャ、バシャ、バシャ・・・
と、船を漕ぐ音が聞こえてきた。そして、その音がだんだん近づいてくる。
振り返って見てみると、一人乗りの小さな手漕ぎボートが近づいてくる。乗っているのは女性のようだ。後ろを向いているから、年の頃や顔立ちはわからないが、若い女性であることはわかる。
やがて、女性は私のボートに横付けし、顔を上げて元気に、
「おじさん、一人?」
と尋ねてきた。顔を見ると、女性というより少女というのが正しいような、そんな幼い顔立ちをしている。
(なぜ、こんな女の子が一人で・・・)
そんなことを考えていると、
「おじさん、聞いてるの?私の顔じろじろ見て、何考えてるの?」
と、また尋ねてきた。
「あ・ああ、おじさんは一人だよ。」
「そうか。それじゃ、一緒だね。ねえ、そっちのボートに乗っていい?」
そう言うなり、少女は私のボートに飛び乗ってきた。ボートの揺れにアタフタしている私を見て、
「あはは。おじさん、何慌ててるの?ひょっとして泳げないんでしょう。」
そう言って笑った。こうして近くで見てみると、14.5歳の少女にしか見えない。いったい、何でこんな少女が一人でボートに乗っているのか。
そんなことを考えていると、少女が、
「ねえ、おじさん暇?だったら、この近くの遊園地に行こうよ。」
と、突拍子も無い事を言い出した。私が呆れて黙っていると、
「ねえ、夕方の方が空いてるし、行こうよ。お互い1人なんだし。一緒の方が楽しいよ。」
と言って、私からオールを奪い、さっさと岸に向かって漕ぎ出している。
「おいおい、これからかい?もうすぐ日が暮れるよ。」
そんな私の言葉を無視して、少女は岸までボートを漕いで、ボートから降りると、一目散に私が乗ってきた車の前まで走っていった。まるで、私の車がどれかを知っているかのように。

その後、私と少女は、遊園地で思いっきり遊んだ。こんなに遊んだのは何年ぶりだろう。そう、何もかも忘れて、楽しむことだけを考えていた。少女も、こんなおじさんと一緒なのに、すごく楽しそうにしていた。本当に不思議な少女だ。

ひとしきり遊んだ後、少女が、
「ねえ、最後にあれに乗ろうよ。」
と言って、観覧車を指した。二人で向かい合って観覧車に乗り込むと、少女が語りだした。
「ねえ、おじさん。自殺しようと思ってたでしょ?」
驚いた。
「黙ってたってわかってるんだから。だって、釣竿を持ってるわりには、竿を全然振らないし、湖の真ん中でライフジャケット脱いじゃうし。誰が見たって怪しいと思うよ。」
私は黙るしかなかった。そう、確かに私は自殺するつもりだった。でも、今はもう、その気は無い。もしや、私を止めるために、この娘は・・・。

少女はそれきり黙ってしまった。私も、何も言う事ができない。そのまま観覧車を降り、しばらく歩いていると、
「ねえ、おじさん。今何歳?」
と少女が尋ねてきた。
「おじさん、今41歳だよ。」
「そうか。じゃあ、後50年は頑張って生きてもらわないとね。」
そう言って、少女は走り出した。
「おい、君!どこに行くんだ!」
少女は立ち止まると、後ろ向きのまま、
「もう、おじさんは大丈夫だよね。だから、これでバイバイ。」
と言って、また走り出そうとする。
「おい、せめて、君の名前だけでも教えてくれないか!」
「美奈、私の名前は美奈。じゃあね、おじさん!」
やがて、少女の姿は闇の中へと消えていった。

50年後・・・

「美奈、早くこっちに。おじいさんが・・・」
美奈と呼ばれた少女は、病床にいる老人の元に駆け寄っていく。
「おじいちゃん、しっかりして。」
「おお、美奈。大きくなったな。」
老人は、精一杯の声でそう言うと、少女の手を握った。
少女は老人の耳元に口を近づけて、
「おじいちゃん、今まで良く頑張ってくれたね。ほんとにありがとう。」
と、周りに聞こえないような小声で言った。老人は涙を流して、
「美奈のお陰だよ。あれから50年、私は幸せだった。」
「私も、おじいちゃんと一緒に過ごせて、とても楽しかった。」
「ありがとう、美奈。・・・本当にありがとう・・・」
そう言うと、老人は静かに眼を閉じた。少女は涙を流しながら、
「おじいちゃん、美奈のために50年生きてくれて、本当にありがとう。」
そう言って、老人の胸に顔をうずめた。

---エンド---

いかがでしたか?なんか、前回のショートショートと同じような終わり方になってるような^^;感想、お待ちしていますm(。_。)m ペコッ

次は、いつになるかな?wまた、創作意欲が湧いたら書きますねwお楽しみにw

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コメント

お久しぶりですね~w
誰かのためになら頑張れるものなのだろうな~w
おじさんには少女…おばさんには少年?(^^;;ww
金メダルのために頑張っているのか?オリンピック…
いやそれだけでもなさそうですね~w
頑張るのではなく楽しむべきか?頑張ってきたからこそ楽しめるのかも~w
まだまだオリンピックモード全開m(。_。;))m ペコペコ…

投稿: shouko | 2006年2月26日 (日) 23時51分

生きるって不思議w 先祖の猿?から命のタスキ受け取って子孫に渡すべくタスキにアイロンかけて(なぜかアイロンかけるのよねww) 美奈さんのシュッシュッポッポの息は蒸気でw←どうしても想像がスティーブン・キングのになってしまう(^^; 「暗黒の塔」シリーズが途中で文庫本になってしまったのかな? の完結の見るのすごく楽しみですww 

投稿: ikaika | 2006年3月 4日 (土) 02時27分

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